倫理綱領・倫理規定
一般社団法人日本特殊教育学会倫理綱領(The JASE Code of Ethics)
- Ⅰ 前文
- 一般社団法人日本特殊教育学会会員(以下、会員)は、障害の有無、発達や学習の特性、生活環境、特別な教育的支援を受けた経験の有無等の違いにかかわらず、すべての人が固有の尊厳を有し、基本的人権が保障されるべき存在であることを深く理解し、すべての人々の自由と幸福の追求を最大限に尊重する。
そのために会員は、研究協力者(以下、協力者)に対して、健康・福祉・安全に十分留意し、プライバシーを守り、自己決定および自律性という個人の権利を尊重することに最大限の配慮を払わなければならない。
会員は得られた知識・情報を伝達する自由と権利を保有しているが、それにともなう社会的責任を自覚し、発言の公正性と客観性の保守に努めるとともに、社会に及ぼす影響についても十分な配慮を払わなければならない。
以上の趣旨に基づき、以下の諸原則を定める。
- Ⅱ 研究活動
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- 研究参加の決定にあたっては、協力者の意思が尊重されること。参加に対する過度の勧誘や強制があってはならない。
- 協力者が自らの意思で研究への参加を拒否、または中断できることを事前に説明すること。これは協力者の年齢や発達、理解の水準に相応した形で伝えられるよう最大限の配慮を払った上で行われなければならない。
- プライバシーに関わる研究を行う場合には、協力者から文書または口頭による同意を得ること。ただし、同意を得るための最大限の努力によっても、協力者の自由意思による同意の判断ができない場合には、協力者を保護する立場にある者(以下、代諾者)の判断と同意を得る必要があること。
- 上記の同意を得る際には研究の目的と方法・予想される協力者への影響・データの扱いと公表の方針等を含む情報を開示し、研究実施に関わる情報を開示し、十分な説明を行うこと。ただし、事前開示が不可能な研究においては、それが協力者に何らかの不利益を与えないことを確認した上で研究を実施し、事後に協力者ないし代諾者にその理由を説明しなければならない。
- 協力者に対して、身体的・心理的な苦痛や危険、および継続的な不利益を与えないこと。研究進行中に協力者の心身を脅かしていると判断した際には、研究を直ちに停止し、事態の改善を図るために必要な対応を講じること。
- 研究によって得られた協力者に関する情報は厳重に管理し、実施時に同意を得た目的以外に使用してはならない。
- Ⅲ 研究・著作の公表
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- 研究・著作の公表に際しては、研究のもたらす社会的、人道的、政治的意義に十分配慮し、専門家としての責任を自覚して行うこと。
- 個人のプライバシーを侵害してはならない。協力者の個人的な資料については厳重に保管し、秘密保護の責任をもつこと。また、プライバシーに関わる個人的な資料について公表する必要がある場合には、協力者または代諾者の同意を得ること。
- 研究のために用いた資料、知的成果等を引用する場合は出典を明記すること。
- 共同研究においては、公表に際し共同研究者の権利と責任に配慮すること。
- 研究結果を社会に向けて公表する際には、科学的根拠に基づき、虚偽や誇張、歪曲、扇動のないようにすること。
- 利益相反(COI)に関連する事項を明記すること。
- 人工知能(AI)ツールを論文執筆に利用した際は、利用目的を開示し、論文内容への説明責任の範囲を明確化すること。
- Ⅳ 倫理の研鑽
- 本倫理綱領をふまえて会員は研究倫理に関する国内外の関連法規等を学び、研究倫理について定期的に研鑽する機会をもつよう努めること。
- Ⅴ 倫理の遵守
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- 会員は研究活動において、本倫理綱領を十分に理解し、誠実に順守する責任を負う。
- 本綱領への違反が疑われる場合や研究活動における不正の疑いがある場合、及び告発文を受けた場合には、本学会倫理問題等対応委員会による調査・指導・必要な措置が講じられることがある。
- 附 則
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- 本倫理綱領は平成25年6月29日より施行する。
- 令和7年6月21日一部改定。