ご挨拶
一般社団法人日本特殊教育学会
理事長 澤 隆史
本学会は設立から60年を超え、我が国の特殊教育に係る研究・実践の充実を目指す学術団体として活動を継続してまいりました。特別支援や障害などに対する関心の広がりとともに研究活動も活発になっている現在、教育、心理、医療、福祉などのそれぞれの分野における研究の深化に伴って、研究の多様化や細分化が進む傾向がみられます。その中で、本学会は様々な領域を包括する総合的な学術研究の場として、多くの会員の皆様に参画いただいております。本学会の「特殊教育」という名称については、これまでにもその変更等に関する議論がなされてきた経緯がありますが、多様な分野・領域を総合的・包括的にとらえる表現として意味や意義をあらためて感じております。
本学会では、毎年の定例大会の開催とともに、定期的な機関誌の発行、研究奨励や研究助成による活動の啓発、国際化への取り組みなど、少しずつ活動内容を充実させながら発展してまいりました。その一方で、近年では災害時における対応や感染対策など危機管理、研究倫理の遵守に向けた取組、障害のある当事者の会員に対するアクセシビリティ対応など、運営上の工夫や改善がさらに求められております。また研究活動の拠点となる大学や各種研究機関あるいは実践の場である教育機関では、多岐に渡る業務や求められる役割の変化に応じて、「ゆとり」を感じにくい状況になっていることも否めません。
このような状況の中で、持続的な大会運営と研究活動の活性化、運営体制の継承・発展のために、新たな枠組みや方法による取り組みも必要になるかと思います。会員の皆様には、論文投稿や大会での研究発表、相互の交流など、種々の学会活動へ積極的に参加いただくとともに、今後の学会の継続・発展に向けて、ご協力いただければ幸いです。